近年、ウェブサイトを標的としたサイバー攻撃が増加しています。
特に、クレジットカード情報を狙ったスキミング攻撃は、大手企業でも被害が報告されています。
ウェブサイトのセキュリティは最優先事項の一つです。
適切なセキュリティ対策を怠ると、データ漏洩や改ざん、コンプライアンス違反など、深刻な事態を招く恐れがあります。最新のウェブサイトが実装すべき重要なセキュリティ管理の一つが、コンテンツ・セキュリティ・ポリシー(CSP)です。
コンテンツ・セキュリティ・ポリシー(CSP)とは?
CSPを簡単に説明すると、ウェブサイトに読み込むことができるコンテンツのソースを限定します。
たとえば、サイト独自のプログラムと、信頼できるドメインからのスクリプトのみを許可するポリシーを設定し、その他の信頼できないソースからスクリプトを読み込もうとすると、ブラウザがブロックするため、安全性が向上します。
しかし、現状ではCSPの導入率は非常に低く、多くのウェブサイトが脆弱な状態にあるそうです。
Blue Triangleの調査によると、主要な1,114のウェブサイトのうち、CSPヘッダーを実装しているのはわずか6.9%に過ぎなかったというレポートもあります。
CSPを導入するメリット
CSPは主にクロスサイトスクリプティング(XSS)への対策として有用です。XSSは攻撃者がページに悪意のあるコードを注入し、ユーザーのブラウザで実行させることを目的とした攻撃です。これは、アカウントの乗っ取り、データの盗難、その他の有害な行為につながる可能性があります。
CSPを導入すると、XSSに対する堅牢性が向上します。XSS対策漏れがあっても、サイト制作者の意図しないプログラムの実行を阻止することが可能です。
現在、あなたのサイトにXSSのバグがないと思っていても、コードの変更やプラグインのアップデートなどによって、時間とともに新たな脆弱性がもたらされる可能性があります。CSPは、サイト上で読み込まれたり実行されたりするリソースを制限することで、XSSに対する強力な最終防衛ラインとして機能します。
一方で、CSPはブラウザが対応していなければ意味がないというデメリットもあります。現在の主要なブラウザであれば対応していますが、非対応の古いブラウザで閲覧する場合は無視されます。CSPだけで完全な対策になるわけではない、という点は注意が必要です。
ですが、導入することでサイトの安全性が大きく向上することは間違いありません。
他にも、CSPを適切に実装していれば、攻撃を未然に防ぐことができた可能性が高い事例も公表されています。
具体的には以下のような事例です。
小売業者のデータ漏洩事件
アメリカの大手小売チェーンで発生した大規模なデータ漏洩事件は、CSPの重要性を示す典型的な例です。
この事件では、ハッカーが、企業の内部開発の独自のPOSシステムにマルウェアを注入し、約4000万人のクレジットカード情報を盗み出しました。
適切なCSPポリシーが実装されていれば、マルウェアの実行や不正なデータ送信を防ぐことができた可能性が高いです。
例えば、CSPヘッダーを使用することで、許可されていないドメインへのデータ送信を防ぐことができたでしょう。
クリックジャッキング攻撃
複数の大手ソーシャルメディアプラットフォームでクリックジャッキング(ウェブページの上に透明なレイヤーを重ねるなどの攻撃)脆弱性が発見されました。
攻撃者は、ユーザーに気づかれずに「いいね」ボタンをクリックさせるなど、不正な操作を行わせることができました。
このような攻撃にもCSPのポリシーを設定しておくことで、サイトが他のウェブページ内にフレームとして埋め込まれることを防止できます。
これらの事例は、CSP対応の重要性を明確に示しています。
適切なCSPポリシーを実装することで、多くの一般的なウェブ攻撃を防ぐことができ、ウェブサイトとユーザーデータのセキュリティを大幅に向上させることができます。
ハッキングのリスクをCSPでブロックしましょう
ウェブサイトをXSSやその他の攻撃に対して脆弱なままにしておくのはリスクがあります。日々流れるハッキングのニュースはこのような攻撃をもとにしていることが多くサイト管理者としては他人事ではありません。
CSPはウェブサイトの防御アプローチの一つに過ぎませんが、見過ごすことのできない重要かつ強力なコントロールです。ウェブサイトに必要なCSPを確保することで、格段に安全度が上がります。
効果的なCSPの実装と維持には、技術的な専門知識が必要なため、当社では、以下のような対応を行なっております。
- CSP調査レポート: お客様のウェブサイトの現状を分析し、最適なCSP設定をご提案します。
- CSP実装支援: CSPの設定から実装まで、技術的なサポートを提供します。
- CSPモニタリングサービス: 導入後のCSP違反レポートを監視し、必要に応じて設定の調整を行います。
もしCSP対応をご検討の方は是非ご相談くださいませ。